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 言ノ葉ノ森TOPINDEX(もくじ)シンプルINDEX>第3話(イマココ)

第3話:マスコット・キャラは勇者が兼任・4

 わけも分からずいきなり猫の姿にされれば、普通誰でもパニックにもなると思う。
 
 俺も当然のことながらパニックで頭の中身がホワイト・アウトし、気づけばフローラの手を振りほどいて逃げ出していた。
 
「まぁっ!待ってくださいな!異世界のニャンコさんが無闇に動き回っては、何があるか分かりませんわ!危険ですわ!」
 
 フローラの声が背後から聞こえていたが、トイレ・ハイの猫状態で衝動のままに駆け抜ける俺の耳には入らない。
 
 ただでさえ異世界の重力の違いで身体が軽くなっている上、時速48kmにも達すると言われる猫の脚力が加わった俺は、弾丸のようなスピードであっと言う間に界聖宮の敷地の端の辺りまで到達していた。
 
 そしてそこで、ある人物と出合い頭にぶつかってしまったのだった。
 
「きゃあぁぁ〜っ!痛いのですぅぅ……」
「い、いってぇ……」
 
「……あらあらぁ?ヒトの言葉を話す猫さんなんて、あり得ないのですぅ……。あなたぁ、ひょとしてぇ……異世界勇者のアーデルハイド・コータロー・タカハシさん、ですかぁ……?」
 
 のんびりした口調ながら、なぜかいきなり俺の正体を見抜いてきたその人物は、俺にとって見覚えのあり過ぎる……しかもあまり良くない印象の残っている相手だった。
 
「そういうお前は……赤ずきん姫……じゃなくて、リィサ・何とか……!」
 
「リィサ・ロッテ・リーストですぅ。“お前”だなんて失礼しちゃいますぅ。ウチの国の人が聞いていたらぁ、不敬罪で牢送りになるところですよぉ」
 
 相変わらず、幼い見た目と、のほほんとした口調にそぐわず、言っている内容がえげつない。
 
(この女……実は絶対に腹黒だろ……)
 
 まだ直感でしかなかったが、この時点で俺はリィサの本質を的確に見抜いていた。

☆☆☆

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このページは津籠睦月による異世界勇者系ウェブ小説「ブラックホール・プリンセス」
シンプル・レイアウト版第3話その4です。
用語解説フレーム付きバージョンはもっと先までストーリーが進んでいますが、
シンプル・レイアウト版は後から制作しているため、ストーリーが遅れています。
 
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(フレーム付き版は端末やブラウザによってはレイアウトが崩れて見づらい場合があります。)